3月29日と30日に、東京音楽大学で開催された「日本ピアノ教育連盟 第31回全国研究大会」に参加してきました。
運よく、東京はちょうど桜の季節。
会場に隣接した鬼子母神では、満開の桜が出迎えてくれました!
今年のテーマは『古典と向き合う』。
古典の大切さは重々承知していながら、普段はどうしてもロマン派や近現代ものに目が行きがちな私にとって、改めて古典ものと向き合う貴重な機会でした。
実は、今回の研究大会は、特別講師のヴィルサラーゼ先生が近親者のご不幸により急遽来日が不可能となり、プログラムの内容が大幅に変更となるアクシデントがありました。
29日の夕方に予定されていたリサイタルには、小川典子先生が代わりにご出演されましたが、とても2日前に打診があったとは思えない、見事な演奏会でした!
このような場面に立ち会える機会もなかなか無いので、却って得をした気分になります(笑)。
アクシデントにも関わらず、興味深い内容が満載の講演で、特に印象深かったのは、岡田暁生先生と磯山雅先生の講演でした。
岡田先生の講演テーマは『モーツァルトのピアノ作品におけるドラマトゥルギー -喜劇オペラとの関連で』。
…と書いてみると、お堅い内容を想像してしまいがちですが、岡田先生独特の語り口で、とても親しみやすい内容でした。
「モーツァルトのソナタは、オペラを知らないと弾けない」と私自身、子どもの頃から言われ続けてきましたが、「なぜオペラが分からないと弾けないか」という点が、自分なりに非常に納得できた講演でした。
岡田先生用語(!?)で、「モーツァルトの音楽における<呼びかけと応答>とは、つまり<ボケとツッコミ>です」とお話されていたのに、強烈なインパクトを感じました!
私はこれから短大の授業で、音楽を専門としない学生を対象に音楽を教えていく訳ですが、専門用語をこのような形で、学生たちにとって親しみやすい言葉に置き換えて説明できるようになれるでしょうか…!?
磯山先生の講演『モーツァルトのピアノ協奏曲 ~その本質と歴史、演奏をめぐって』も充実した内容で、あっという間の90分間でした。
全部で27番まであるモーツァルトのピアノ協奏曲ですが、振り返ってみると、実際に弾いたことがあったり、レッスンで教えたことのあるレパートリーは、かなり限られていることに気づきます。
最初期の作品から順を追って眺めてみると、協奏曲の中でピアノが果たす役割や、オーケストラの楽器編成が次第に変化していく様が見て取れました。
これまでと違った視点でモーツァルトの協奏曲を聴けるようになりそうです。
今回は帰りの飛行機の関係で、大会には1日半のみの参加でしたが、東京の懐かしい先生方にもたくさんお会いできました。
近況報告だけでなく、新しい仕事に対する相談にも乗っていただけたり… 先生方、本当にありがとうございました!!
また、弥栄高校で教えていたかつての生徒たちも会いに来てくれました!
高校生だった彼女たちも、現在はそれぞれ音大のピアノ演奏家コースに在籍し、研鑽を積んでいます。
今勉強していること、これからのことなどを、自分の言葉でしっかりと語ってくれる彼女たちから、多くの新鮮なエネルギーをもらいました!
ピアニストはどうしても引きこもりがちになりますが(笑)、普段ひとりで練習や勉強をしているだけでは得がたい、貴重な学びや交流ができる2日間でした。
新学期も始まり、いよいよ短大での仕事も本格的に開始です。
この経験を糧に頑張ります!!